最初に言っておくと、前まで俺は常に計画を立て、それに沿って生きているような男だった。
計画、スケジュールが全てで、そのレールを一度も外れる事無く30歳まで生きてきたんだ。
小学生の時で言えば「夏休みの宿題」で人との違いが出ていた。
俺は、最初に宿題を夏休みの日数で分割し、毎日計画的に宿題をこなしていくタイプだった。
だが、大半の友人は夏休みの終盤まで遊びほうけて、終盤になると「宿題終わらねー」と言いながら、必死に宿題をやるのだ。
今にして思えば、そういう友人を、何て計画性のないヤツラだと少し見下していたと思う。
高校、大学も全て計画通りに学力に合った進学先へ進学し、勉強し、企業についても幸か不幸か計画通りに就職する事ができた。
就職してからも、計画通りに業務をこなした。
時に「融通が効かない」と言われもしたし「彼はしっかりしている」と言われもした。
批判的な意見は、全く気にならなかった。
なぜなら、俺にとっては計画が全てであったし、スケジュール管理がしっかり出来る人こそ自分にとって評価の対象だったからだ。
しかし、30歳になってしばらく経った時、ふと唐突に今までの生き方に疑問が沸いてきたのだ。
「ずっとこのままで良いのか?」
という、今までの生き方を根本から否定するような疑問である。
疑問の発端はおそらく「恋愛」が絡んでいると思う。
全てをスケジュール通りに運び、キッチリとしすぎている人は、おそらく恋愛が上手くいかないのだ。
俺がそうなのだから、多分そうなのだと思う。
女性と交際をした事はある。
待ち合わせの時間から、昼食の時間、休憩の時間まで、全てをスケジュール通りに運ぶ・・・。
すると、最初は「時間を守る、しっかりした人」「頼りがいがある」と思われるのだろうが、それがずっと続くと次第に「融通の効かない人」という印象になってくる。
仕事でもそうだが、より親密な仲になった人ほど俺を避けていくという悪循環。
逆に表面的な付き合いだけならば、客観的に見ても俺の評価は高いと思われた。
故に、かつては両手の指では数え切れないほどいた友人も今は2、3人になってしまったし、交際した女性は5人ほどいたが、付き合って1ヶ月も経たぬうちに別れてしまい未だに童貞なのだ。
自分では気にしていないと思っていた、周囲の悪評もやはり少しは気になっていたのかもしれない・・・。
少しずつ俺の中に蓄積されたそれは、自分の行き方に疑問を覚えさせるほどに溜まっていたのである。
全てを変える事はできないと思った。
計画性を重視する自分を根本から否定してしまっては、今までの30年間を否定する事にもなってしまうし、おそらくその途轍もない否定に俺は耐えられないだろうと思ったのだ。
少しだけでいい・・・少しだけの変革、それが俺の欲したものだった。
幾つもの案をノートに書き綴っていく・・・。
「恋愛をする、ある程度時間に譲歩する」
「スケジュールの無い日を1週間に1日だけ設ける」
「スケジュール帳を思い切って捨ててみる」
・・・
どれも、荒療治な気がした。
キッカケとしては、大きすぎる気がした。
悩みに悩んだ挙句最後に出てきたのが
「童貞を捨てる」
というものだった。
この案は個人的にしっくり来た。
キッカケとしては最も簡単な気がしたし、現代で言えばセックスだけを目的とするならば恋愛の必要はないからだ。
「童貞を捨てる」という案が自分の中で可決されてから、可決案を実行するまでには、それほど時間を必要としなかった。
恋愛せずに童貞を捨てる・・・つまりは、風俗を利用するという事である。
挿入が合法的に許されているのは、ソープランドと呼ばれるジャンルだけのようだったが、他のジャンルより料金が割高だった。
加えて、自分の中で「段階を踏んで」という考えがあったため、いきなりソープランドを利用するのではなく、デリバリーヘルスを先に利用し、風俗というものがどういうものなのかを少し知ってから、ソープランドを利用しようと考えた。
ホームページで在籍嬢の情報を確認し、店に電話を入れる。
イメージとしては、自宅に風俗嬢を派遣してくれるものだと思っていたが、ホテルを使った派遣しか行っていないとの事だったので、自宅から徒歩数分のホテル一室を利用したデリバリーヘルスを行う事にした。
先にホテルへ到着したのは俺のほうだった。
ホテル前で待つ事数分、指名した風俗嬢を載せた車がホテルの前に止まった。
プレイ料金を運転手に前払いし、風俗嬢と共にホテルへと入って行く・・・。
受付を済ませ、エレベーターを使って上層へ・・・部屋へと足を運ぶ道中、風俗嬢は俺の左腕に腕を絡ませていた。
道中での会話は全く無く、ホテルの一室へと二人で入る。
部屋に入り、ベッドに腰を下ろし、俺は言った。
「今日は、風俗を経験しに来ました。童貞ですが、色々教えてもらえると助かります。よろしくお願いします。」
風俗嬢は立ったままキョトンとした表情でこちらを見ていたが、数秒後合点がいったらしく、ニヤリとした表情を見せた。
「なるほど~・・・ってことは、お兄さん今まで緊張してたんだね~♪」
「いいよ~、それじゃあまずはシャワー浴びよっか♪」
・・・どうやら、道中無言だったのを緊張していたと認識されたようだった。
ホテルに入室した時点で、プレイは開始されていると思ったので、シャワーは断った。
こちらとしては、相手がシャワーを浴びてようが、浴びていまいが気にならなかったし、こちら側としてはホテルに来る前にシャワーを浴びてきていたのだ。
何より、風俗をより知るためには1分も惜しいところ・・・全ては、童貞喪失のため・・・である。
シャワーを断った事で、また風俗嬢にニヤニヤされてしまった。
これは、どうやら臭いフェチ的なものがあると思われてしまったか・・・。
衣服を脱ぎ去り、お互い生まれたままの姿になる。
風俗嬢が提示してきた流れとしては、キスや愛撫などからはじまり、陰部に十分湿り気が確認された後、勃起した一物をスマタする。というものだった。
かなり抽象的な流れに、少しムッとしてしまう自分がいたが、堪えてプレイを開始した。
風俗の事は全く知らなかったが、AVなどは他の男性と同じく見たことがあったので、知識はそれなりにあると自負していた。
AVの知識は役に立たないかと思ったが、プレイ開始からしばらくはトントン拍子で行為が進んだ。
・・・キスからはじまり、体にある性感帯を愛撫、手マンを経て、いざスマタする場面になった。
ギンギンに勃起した一物をスマタする体制に入る・・・。
しかし、予想を裏切りスマタされる事は無く、一物はそのまま膣内に挿入されてしまった!
既に十分な湿り気を帯びている膣は、たいした抵抗も無く一物を飲み込んでいく・・・。
まるで一匹の軟体動物であるかのように、膣内部は変動を続ける。
入った自分の一物が根元まで全て膣に飲み込まれた!
と、次の瞬間!
ギュウウウゥウウッッ!
膣内が極めて瞬発的なムーブを見せる!・・・伸縮する・・・明らかに、膣内部を形成している細胞全てが一つの目的のために動いていた。
俺の勃起した一物が締め付けられる!
今まで崩さなかったポーカーフェイスが少し歪む、その顔の歪み、表情の崩れを風俗嬢は見逃さなかった。
こちらが腰を動かす気がないと見るや、風俗嬢側が動いてきたのだ!
一物に完全にフィットする形となった膣内が俺の息子の外壁をなぞる・・・。
コンドームは勿論装着していたが、コンドーム越しにも十二分に伝わってくる膣の脈動。
コンドームが無ければ・・・即死だった・・・。
痛感する・・・ことセックスに関しては相手の方が一枚も二枚も上手だ。
「流石に表情が歪んだね~」
「お客さんから結構好評なんだよ、コレ」
余裕しゃくしゃくな感じで風俗嬢が話しかけてくる。
「デリヘルは、挿入禁止じゃ?」
一物が受ける快感に耐えながら、俺は素朴な疑問を彼女に投げかけた。
すると、ニコニコしながら「バレないからヘーキ、ヘーキ♪ 」という返答が返ってきた。
本来ならば、御法度とされている本番行為であるから、今すぐ中断したほうが良いのだろうが、一度も味わった事の無いレベルの快感に、俺は抗うことができなかった。
そのまま、数分と持たず射精、自慰行為とは比べ物にならない程の快感が陰部から全身に広がった。
すっかり予定が狂ってしまった・・・本当ならこのデリヘルは予行練習のようなもので、ソープランドが本命だったのだが・・・。
結果として初めての風俗利用・・・デリバリーヘルスで童貞を喪失する事となった。
今にして思えば、あの時童貞を喪失したのは正解だった気がする。
というのも、あのデリバリーヘルス利用の後、非常に下衆な話だが、女体に・・・セックスに興味が沸いてきたのだ。
セックスをするために、恋愛をする・・・彼女を作る・・・あの後、自分の根幹にはそういう方針のようなものがあったように思う。
性的欲求をキッカケとしてここまで変わるものかと、正直自分でも驚いていたが、スケジュールの乱れや、時間に対してのルーズさが少しは許せるようになったのだ。
・・・全ては、セックスのため・・・。
その後、一人の女性と交際する事になるのだが・・・。
この時、発端として肉欲を中心に恋愛していたのは確かである。
今までの恋愛と違っていたのは、別れずに長く続いたという点だろう。
少しの妥協点を持って今までより一人の人と長く付き合う事で、相手に対する理解や愛着といった・・・一種の愛おしさが沸いてきたのである。
付き合いだして半年を過ぎた頃には、セックスなんてどうでも良くなっていた。
この相手に対する愛おしさを知れたのも、風俗で童貞を捨てた事がはじまりだと思っている。
今では、スケジュール通りに進まないのも意外と悪くないな・・・と、そう思える自分もいる。
管理人から一言
今回の童貞喪失体験は、大学時代の先輩Kさんから聴いたものです!
大学時代は正直「うわ~何か固いな~この人」というイメージでした(苦笑)
この前、久しぶりに再会しまして飲みの席で話を聴かせてもらったんですが
確かに、以前とはかなり変わった感じだったんです!
個人的には、かなり接しやすくなってました!(笑)
Kさん、ありがとうございました!また機会があったら一緒に飲みましょう!